厚生年金をもらいながら働くと、気になるのは厚生年金の減額です。

折角働いたのに、まるで罰則のように厚生年金が減額されるなど、もってのほかの話です。

では、折角働いてもらった収入で、厚生年金が減額される仕組みを確認します。

厚生年金は標準報酬月額に応じて減額される!

厚生年金の減額は、厚生年金に加入できる働き方で稼いだ給料に応じて、減額されるかどうか決まります。
つまり、厚生年金に加入できない方法で働いた給料や、アパートなどの不動産からの収入、フリマで売った収入などは、一切関係ありません。
給料に絞って言えば、厚生年金に加入できる働き方かどうかが、重要です。
老齢年金の減額を防ぐ方法は、働き方を選べるのならとても簡単ですね。
一方、会社の健康保険に入るためには、厚生年金に加入できる条件で働く必要がありますので、そのときには、給与の標準報酬月額に注意しながら働く必要があります


在職老齢年金について知りたい
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1129.html

年金+月給などが「50万円超」なら年金額を調整

60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「老齢厚生年金の月額」と「月給・賞与(直近1年間の賞与の1/12)」の合計額が50万円を超えると、年金が減額されます。この仕組みを「在職老齢年金」といいます。
老齢基礎年金は減額されず、全額受け取れます。

在職老齢年金の計算式(支給停止額の計算式・2024(令和6)年度)
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-50万円※)×1/2
※2023(令和5)年度は48万円

<基本月額(年金月額)とは>
老齢厚生年金(年額)を12で割った額です(加給年金は除きます)。

<総報酬月額相当額とは>
月給(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与を12で割った額を足した額です。

基本月額+総報酬月額相当額の合計が
50万円以下     老齢厚生年金は全額受給できる
  50万円を超える   50万円を超えた額の1/2の年金額が支給停止

注:
「老齢基礎年金」は支給停止の対象外です(全額受給できます)。
70歳以降は厚生年金の被保険者とはならないため保険料負担はありませんが、厚生年金の加入条件と同程度で働く場合は、70歳以降も支給停止の対象になります。
老齢厚生年金が全額支給停止にならず一部でも受け取れれば、加給年金は全額受け取れます。

日本年金機構のパンフレット https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK39.pdf



厚生年金保険の加入対象になる条件
厚生年金保険の加入対象になるには以下の条件を満たしている必要があります。

勤務先の企業が適用事業所になっていること
適用事業所に常時使用される形で雇用されていること
70歳未満であること
企業と従業員が上記の条件を満たしている場合は、国籍や性別、試用期間などを問わずすべての方が加入対象です。加入していた方が70歳を迎えた場合は70歳以上被用者となり、原則は健康保険のみの加入となります(厚生年金保険の資格喪失)。なお、ここで挙げた「常時使用」とは、労働の対価として何らかの金銭を受ける関係が常にあることを指します。

常時使用される形で雇用とは?

労働時間が短い従業員の場合

労働日数と労働時間が一定より短い従業員は、基本的に加入対象になりません。ただし、短時間労働者の労働日数と労働時間が、一般従業員の1カ月の所定労働日数と1週間の所定労働時間と比較して4分の3以上であるという基準を満たしている場合は加入対象です。

近年は事情が変わって短時間労働者にも社会保険の適用を拡大する動きがあるため、以下の条件を満たしている場合はアルバイトやパートなどの短時間労働者でも加入可能です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 2カ月以上、雇用される予定がある
  • 月額の給与が8.8万円以上ある
  • 学生ではない
  • 特定適用事業所か任意特定適用事業所に勤務している

一般従業員の4分の3以上の労働時間がない場合でも、上記の条件をすべて満たす場合は加入対象になります。

日雇いなど一時的に短期で働く場合

一時的、短期的な雇用に留まる労働者は加入の対象外です。たとえば、日雇い労働者、2カ月以内の期間が定められて雇用される場合、所在地が一定でない事業所に雇用される場合、4カ月以内の季節的業務あるいは6カ月以内の臨時的事業の事業所に雇用される場合に当てはまります。

ただし、日雇い労働者でも1カ月以上雇用されるようになった場合は、その日から加入できます。期間が定められている場合や季節的業務で雇用される場合でも、一定期間よりも長く雇用される予定がある場合は、契約時から加入可能です。所在地が一定でない事業所のケースではいかなる場合も加入が認められていません。


この条件に外れると、厚生年金には加入できないので、従って、そもそも標準月額報酬も算出されません。

以上です。