60歳定年、現在大概の会社がそうだと思います。
そして、現在、国民老齢年金の新たな支給開始が、財政難のために65歳からとなったため、政府は各企業に65歳までの雇用の延長を指示しました。
その結果、普通のサラリーマンは条件が引き下げられることは致し方有りませんが、本人が希望すれば、65歳まで雇用の延長、あくまでも雇用の延長で定年の延長では有りません、が行われるようになりました。
つまり、普通に働いていると、60歳を迎えた時に65歳までは、本人が意識をしていないかぎり、ほぼ雇用の延長を受け入れフルタイムの働き方をする様になります。
したがって、本当の意味で定年後の生活を考えるのは、65歳からとなります。
これから、65歳になる人が就職した頃は、定年は55歳が普通でしたので、時の流れとは言え、まさか65歳まで働くとは、想像もつかなかった事と思います。
無論、会社の事情で雇用延長が不可能であったり、業績の悪化により解雇や倒産などにより、もっと早い年齢で自らの将来を考えざるを得ない場合もあるかと思いますが、今回は、これらの場合には別事情として個別にベストな方法を考えていただきたいと思います。
では、65歳からの年金と給与の関係、そして、税金の関係からベストな生活の方法を探ります。
同種の記事は、多数ありますが、記載された年月が不明なものや、書かれてから長い時間が経過して内容が古くなったものが多く、今回、筆者が現在のデータ(2018年2月現在)を使って、年金事情を調査しました。
65歳以上の在職老齢年金制度
平成29年4月から、働いて給料を稼ぎながら年金をもらっている人の年金支給上限額が、再び引き下げられました。働いて給料を稼ぎながら年金をもらうことを、在職老齢年金制度と言います。
つまり、働いて稼ぐ給料が、ある程度以上多いと、年金の支給額を減らしてしまうという制度の、給料が多いと年金を減らし始める金額を引き下げたということです。こんなひどい話はありませんね。せっかく働いたら年金が減らされるということです。
基準は、下記のようになっています。(日本年金機構のホームページから:2018年2月現在)
- 基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
- 総報酬月額相当額は、
(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12
基本月額と総報酬月額相当額 | 計算方法 (在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額=) |
---|---|
基本月額と総報酬月額相当額と合計が 47万円以下の場合 |
全額支給 |
基本月額と総報酬月額相当額との合計が 47万円を超える場合 |
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-46万円)÷2 |
基礎年金は全額支給。基礎年金とは国民年金に加入し、保険料納付期間と保険料免除期間が25年以上ある人が原則65歳から受給できる年金
賃金(ボーナス込み月収)と厚生年金(報酬比例部分)の合計額が46万円を上回る場合には、賃金の増加2に対し、年金額(報酬比例部分)1を停止。
60歳から64歳までの方の 支給停止調整変更額 |
47万円 (28万円の支給停止調整開始額については変更ありません) |
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65歳以上の方の 支給停止調整額 |
47万円 |
年金が減額されないで働く方法
年金を減らさずに働く方法としては、年金制度の規制の中で働くか、規制の外で働けば良いことになります。
厚生年金に加入し基準以内の収入で働く
60歳以上~65歳未満
給与月額と前年度の賞与1か月分、年金月額を足した合計額が29万円以下
65歳以上~70歳未満
給与月額と前年度の賞与1か月分、年金月額を足した合計額が47万円以下
70歳以上
厚生年金への加入はありませんが、年金減額の基準は65歳以上の場合と同じ
ここで、間違えてはいけないのは、日本年金基金のホームページには、全てを読むと確かに書いてはあるのですが、給与収入により年金を減額する時の基準となる毎月の年金は、自分が貰える年金額の総額ではないと言う事です。
自分が貰える年金額よりもずっと少ない。
つまり、大変親切な事に、実際に貰える年金額の一部しか、玄関計算には使わないのです。
なぜ、こんなに親切な制度をしっかりアナウンスしないのでしょうか?
お役所仕事とはいえ、あまりに年金受給者に対して不親切です。
65歳からの年金減額
65歳以降貰える老齢厚生年金は、
基本年金額=報酬比例+差額加算+繰上調整
この中で、減額計算の対象になるのは、報酬比例部分だけです。
そして、比例報酬部分は単身者だと年金の中の6割程度の事が多い様です。
したがって、年金減額が無い給与の上限はかなり高くなります。
ところで、厚生労働省の統計では、月額は男性が「166,120円」、女性が「102,131円」となっています。
報酬比例部分は、総額の6割とすると、標準的に男性100,000円、女性は6万円ぐらいと想定されます。
- 基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
- 総報酬月額相当額は、(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12
(例)65歳からの年金減額が無い給与の上限
基本月額 月給 年俸 協会けんぽ全額
9 37 448
10 36 436 3.69
11 35 424
12 34 412
13 33 400 3.48
14 32 382 3.28
15 31 372 3.28
16 30 360
17 29 348
18 28 336
19 27 324
20 26 312 2.66
以上の基準を超過したときに、超過額の2分の1ほど年金収入を減らしていくという在職老齢年金制度の調整がある。これが「年金制度の壁」と呼ばれます。
しかし、65歳以降平均的な男性であれば、比例報酬部分が10万円と想定され、給与収入が436万円となり生活するのに十分な年収です。
女性ならもっと高額な給与収入が許容されますが、果たしてこの様な年収を貰える仕事に従事出来るか疑問です。
②年金制度の外で働く
以下の場合は、年金に加入する必要が無い、あるいは、加入出来ないので厚生年金の減額はありません。
厚生年金に加入しないで会社で働く
所定労働時間が正社員の4分の3に満たないパートや、短期アルバイトのような仕事
厚生年金加入の必要がないため年金の減額はない。
従業員が5人未満の個人事業所で働く場合
厚生年金の適用事業所とならないため、年金の減額はない。
自営業(個人事業主)として働く
自営業やフリーで仕事をする場合
年金減額の対象にならない。
従業員が5人未満の個人事業主となった場合
厚生年金の加入義務がないので正社員として働いても年金の減額対象とならない。
③国民年金の支給について
年金の減額は、厚生年金から受け取る年金部分に限られる。
国民年金の老齢年金部分には減額はない。
60歳以上~65歳未満
年金収入とと勤労収入を合算して、毎月28万円以上になると、それを超過したときに超過額の2分の1ほど年金収入を減らしていくという在職老齢年金制度の調整があるからである。これが「年金制度の壁」。
65歳以上
年金と給与の合計が47万円を超えると、年金支給が停止されるという47万円の壁が存在する。
「給与所得控除」と「公的年金等控除」の二重取り?
課税前の所得(専門用語では「収入」という)には、給与収入と公的年金等収入には、それぞれ独自の控除として、給与所得控除と公的年金等控除が別々に受けられるというのが、大きな利点です。
なお、公的年金等控除は、公的年金の受給額が大きくなると、比例して増額される点が所得控除とは異なりますが、そんなに高額の公的年金を受ける人はほとんどいないと思いますので、無視して良いと思います。
「給与所得控除」:仕事をするために必要な、経費を概算で収入から差し引いて所得税の負担を軽減。
・収入が162万円までは、最低限である”65万円”の給与所得控除が受けられる。
・収入が162万円なら、65万円が差し引かれて97万円の給与所得となって、その後、人的控除や実費控除が差し引かれる。
・給与収入では、収入が1000万円を超えると給与所得控除は220万円で頭打ち
「公的年金等控除」:公的年金を受け取るのに、経費はかからないが高齢者の所得税軽減措置としての控除
・公的年金等控除には上限額がない
給与収入も得ている65歳
公的年金等控除と給与所得控除をダブルで受けられます。
例
課税前年収が200万~300万円
・給与収入を受けていて年金収入もある高齢者が受けている両控除の合計額は、平均して193万円。
96万円多い。
課税前年収400万~500万円
・給与収入のみの人が受ける給与所得控除の額は平均147万円
・給与も年金もある高齢者が受ける両控除の合計額は平均235万円。88万円多い。
課税前年収800万~900万円
・給与収入のみの人が受ける給与所得控除の額は平均205万円
・給与も年金もある高齢者が受ける両控除の合計額は平均305万円。100万円多い
控除額が多い分だけ、同じ課税前年収でも、所得税が軽くなる。
制度は65歳を境に計算方法が異なる
・基準となる額
65歳未満で29万円
65歳以上で47万円
平均の「月収」と、通常であれば受け取れる「年金月額」の合計が、基準額を上回ると、超過額の半分が年金額から差し引かれます。
個人事業主と給与所得を受けている場合
- 給与にかかる所得税の計算式
- 収入 − 給与所得控除 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 = 所得税額
以下はじめようフリーランスから
サラリーマンは、
給与所得と経費の認められる別の仕事をする、というのがベストのパターンです。
給与所得
「給与所得控除」収入金額に応じて65万円など一定金額が差し引かれる
健康保険など会社が半分負担してくれる。
では、経費の認められる別の仕事の収入は、どの様に税金を納めるのでしょうか?
①雑所得
そのため仕事として使った交通費や機材の購入費はもちろん、自宅を仕事場にしているときは使った分の光熱費や通信費も計上できることになります。
経費について詳しくは「一発確認!知れば知るほど得をするフリーランスの経費一覧」をご参照ください)。
②個人事業主
(「フリーランス初心者でも青色申告!知っておくべき3つのこと」「フリーランスの第一歩! 知っていて損はない「開業届」のあれこれ」を参照)。
ただし、所得が290万円以上あるとき、基本的に事業税がかかります。
開業届に記入する職業によって「個人事業税」というものがかかる・かからない、という違いが出てきます。
たとえば「文筆業」にはかかりませんが「デザイン業」にはかかるなど、対象となる職業や税率は都道府県によって異なります。
会社員だから青色申告ができない、という規定は法律上ありませんが、得ている報酬が給与所得者としての「雑所得」ではなく、「事業所得」として認めてもらえるかどうか、という点は税務署の判断を仰がなくてはいけません。
雑所得と事業所得の違いに明確な基準はないものの、大まかにいえば以下のように分類されます。
- 雑所得:単発的に行って得られた収入で継続性はあまりない
- 事業所得:事業と言える内容・規模で行っている仕事の収入で、継続的に利益が出る見込みがある
青色申告ができるようになると特別控除が受けられるだけでなく、純損失の3年繰り越し・繰り戻しや青色事業専従者給与の適用などメリットは他にもあります。一方でその分、帳簿付けなど日々の会計業務が増え、確定申告の手間も増えるでしょう。これらをすべて含めたビジネスとして、副業でやっていけるのか、という点もよく考えてみましょう。
雑所得か事業所得かで大きな違いが出てくるのが、「損益通算」です。損益通算では、副業で出た赤字の分だけ給与所得に課せられた所得税や住民税が減額されます。これは雑所得では認められず、事業所得のみに適用される制度です。
たとえば給与所得控除やその他の控除(社会保険料控除、配偶者控除など)をすべて差し引いた課税所得が300万円だった場合、所得税は300万円×税率10%-9万7500円で20万2500円となります(国税庁 平成27年分所得税の税額表参照により算出)。
この際、もし副業が赤字で50万円の損失があったら課税所得は250万円と減額され、同様に所得税は15万2500円となります。この差額の5万円は還付されるので、副業の赤字を減らすことができるのです。
一方でこの制度を悪用して副業の経費を過度に申告し、赤字に陥ったと見せかけて所得税を安くしようという人がいます。そのため税務署も厳しく目を光らせていて、不審な内容では税務調査が入ることもあるようです。領収書や帳簿の管理は日ごろからしっかり行っておきましょう(不安な方は「駆け出しフリーランスの不安解消!怖~い税務調査は私にも来る?」もどうぞ)。
令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
等級 標準月額 月額
額 18.300% 9.150%
円以上 円未満
1 88,000 ~ 93,000 16,104.00 8,052.00
2 98,000 93,000 ~ 101,000 17,934.00 8,967.00
3 104,000 101,000 ~ 107,000 19,032.00 9,516.00
4 110,000 107,000 ~ 114,000 20,130.00 10,065.00
5 118,000 114,000 ~ 122,000 21,594.00 10,797.00
6 126,000 122,000 ~ 130,000 23,058.00 11,529.00
7 134,000 130,000 ~ 138,000 24,522.00 12,261.00
8 142,000 138,000 ~ 146,000 25,986.00 12,993.00
9 150,000 146,000 ~ 155,000 27,450.00 13,725.00
10 160,000 155,000 ~ 165,000 29,280.00 14,640.00
11 170,000 165,000 ~ 175,000 31,110.00 15,555.00
12 180,000 175,000 ~ 185,000 32,940.00 16,470.00
13 190,000 185,000 ~ 195,000 34,770.00 17,385.00
14 200,000 195,000 ~ 210,000 36,600.00 18,300.00
15 220,000 210,000 ~ 230,000 40,260.00 20,130.00
16 240,000 230,000 ~ 250,000 43,920.00 21,960.00
17 260,000 250,000 ~ 270,000 47,580.00 23,790.00
18 280,000 270,000 ~ 290,000 51,240.00 25,620.00
19 300,000 290,000 ~ 310,000 54,900.00 27,450.00
20 320,000 310,000 ~ 330,000 58,560.00 29,280.00
21 340,000 330,000 ~ 350,000 62,220.00 31,110.00
22 360,000 350,000 ~ 370,000 65,880.00 32,940.00
23 380,000 370,000 ~ 395,000 69,540.00 34,770.00
24 410,000 395,000 ~ 425,000 75,030.00 37,515.00
25 440,000 425,000 ~ 455,000 80,520.00 40,260.00
26 470,000 455,000 ~ 485,000 86,010.00 43,005.00
27 500,000 485,000 ~ 515,000 91,500.00 45,750.00
28 530,000 515,000 ~ 545,000 96,990.00 48,495.00
29 560,000 545,000 ~ 575,000 102,480.00 51,240.00
30 590,000 575,000 ~ 605,000 107,970.00 53,985.00
31 620,000 605,000 ~ 635,000 113,460.00 56,730.00
32 650,000 635,000 ~ 118,950.00 59,475.00
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